今や多くの企業がクラウドコンピューティングの利便性や経済性を認め、その積極的な活用を進めています。一方で、クラウドコンピューティングがどのような特徴を持った技術・サービスなのかといった情報を把握しきれていない方も多いことでしょう。そこで本記事では、クラウドコンピューティングの特徴や種類、メリット・デメリットなどの概要を分かりやすく解説します。
クラウドコンピューティングとはまずは、クラウドコンピューティングとは何か、どのようなことができるのか、といった基本的な知識を解説します。
クラウドコンピューティングの基礎をわかりやすく紹介クラウドコンピューティングとは、インターネットを介してITインフラやアプリケーションを提供するサービス形態のことです。クラウドサービスという呼称でも一般的に知られています。クラウドサービスには、データベース、個々のアプリケーション、グループウェアなどさまざまなものが含まれます。
オンプレミスと呼ばれる従来型のシステムの場合、ユーザー側でサーバーやネットワークを構築したり、CD/DVD-ROMなどの物理媒体から個々のPCにアプリケーションをインストールしたりする必要がありました。したがって、オンプレミスの場合は、システムを利用できる場所や端末に制限がかかるのが特徴です。
他方、クラウドサービスで提供されるシステムは、サービスプロバイダーであるベンダー企業のサーバー内に構築されており、ユーザーはインターネットでそこにアクセスして利用することになります。サービス内で作成したデータもそのサーバーに保存されるため、ユーザーはインターネット環境さえあれば、特定の場所やデバイスに縛られたり、USBドライブなどの外部端末を持ち歩いたりしなくても、サービスやデータにアクセスできるのが特徴です。
クラウドサービスには無料で提供されているものもあれば、有料で提供されているものもあります。有料のクラウドサービスは、従来の買い切り型のサービスとは異なり、各種の料金プランや使用量などに応じて一定期間の利用料金を支払うサブスクリプション形式(従量課金制)で提供されます。
自社でサーバーを構築せずともすぐに利用開始できる経済性や利便性、あるいは自社の状況に応じて料金プランを変更したり、利用を中止したりできる拡張性や柔軟性の高さから、近年では多くの企業がクラウドを導入するようになりました。実際、総務省の「令和3年版 情報通信白書」においても、2020年時点でクラウドサービスを利用している企業が約7割も存在することが示されています。(参照元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242140.html)
クラウドコンピューティングでできることクラウドコンピューティングで提供されているサービスには多種多様なものがあるため、それらを使ってできることも非常に多岐に渡ります。
たとえば、身近なところではGmailやYahoo!メールのようなWebメールサービスもクラウドコンピューティングの一種です。こうしたメールサービスを利用すれば、メールソフトウェアを特別に導入しなくても、多様な端末からメールの確認や送信などができます。
あるいは、GoogleドライブやDropboxのようなクラウドストレージを利用すれば、インターネット上のファイルサーバーにデータを保存し、いつでもどこからでもアクセスできます。大容量のハードディスクを備えたPCを購入したり、USBドライブなどの外付けのハードウェアを利用したりする必要性が薄れるのは大きな利点です。
その他にも、ドキュメントの作成、アプリの開発、データの管理・分析など、クラウド上で行えることは数えきれないほどあります。会計システムや顧客管理システムのような業務用アプリケーションも、近年ではクラウドサービスが利用されることが多くなっています。
クラウドコンピューティングの提供形態一口にクラウドコンピューティングと言っても、その提供形態は一様ではありません。第一にクラウドコンピューティングは、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに大別可能です。そして、そこからの派生として、この両者の特徴を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」や、複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」などが存在します。以下では、それぞれの提供形態の違いを解説します。
パブリッククラウドパブリッククラウドとは、サービスの全てがインターネット経由で提供される、最も一般的なクラウドコンピューティングモデルです。パブリッククラウドでは、サーバーやストレージ、ソフトウェアなどのリソースやインフラは全てベンダー企業が所有・管理し、均一化されたサービスをユーザーに提供します。もちろん、システムのアップデートやメンテナンスなどもベンダー企業の役割です。したがって、導入や管理運営の難易度やコストを低く抑えられるため、誰もが利用しやすいのが特徴です。先に紹介したWebメールサービスなどは、パブリッククラウドの典型と言えます。
プライベートクラウドプライベートクラウドは、ひとつの企業や組織が独占的に使用するリソースで構成されたクラウドコンピューティングモデルです。プライベートクラウドは、ユーザーが所有するデータセンターに設置されたり、ベンダー企業から他のユーザーと遮断された自社専用の環境を提供されたりします。そしてサービスとインフラは自社のプライベートネットワーク上で維持され、自社専用のものとして利用されます。そのため、プライベートクラウドでは、自社の特定のニーズに対応するためのシステムへとカスタマイズしやすいのが特徴です。外部からサーバーやネットワークが遮断されている分、パブリッククラウドと比べて堅牢なセキュリティも確保しやすいですが、専用の環境を構築するためにコストも高くなります。
ハイブリッドクラウドハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウド、あるいはオンプレミスのインフラストラクチャを組み合わせたクラウドコンピューティングモデルです。ハイブリッドクラウドにおいて、ユーザーは状況や要件に応じてパブリッククラウドとプライベートクラウドの間でワークロードを自由に移動し、最適なクラウドコンピューティング環境を選択します。たとえば、パブリッククラウドサービスを使用しつつも、重要なアプリケーションやデータなどについてはプライベートクラウド環境で安全に保持するなどがその一例です。ハイブリッドクラウドを活用することで、企業はパブリッククラウドやプライベートクラウドを単一で利用するよりも、効果やコスト効率を高めてシステムを活用できます。ただし、適切にパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたり使い分けたりするためには、運用上の難しさもあります。
マルチクラウドマルチクラウドとは、複数の独立したクラウドサービスを併用するクラウドコンピューティングモデルです。ユーザーは、自社の要件に応じて最適なサービスを適宜活用することで、ビジネス上の目標を効果的に達成できます。ひとつのクラウドサービスに依存しないことで、さまざまなリスクを分散する効果も見込めるでしょう。ただし、独立したクラウドサービスを併用するマルチクラウドには、複数のシステムを管理する煩雑さ、データのサイロ化、コストの増大などの課題も伴います。
クラウドコンピューティングの種類クラウドコンピューティングを利用する際には、アプリケーションの開発・運用など全てをサービスプロバイダーに委ねたい場合もあれば、開発環境だけを提供してもらいたい場合もあるでしょう。このように、誰が何を管理するかによって、利用するクラウドサービスの種類は「SaaS」、「PaaS」、「IaaS」という3つの種類に分かれます。以下では、それぞれの種類の概要を解説します。
SaaS(Software as a Service)SaaSは、クラウドコンピューティングサービスの最も包括的な形態で、プロバイダーが管理するアプリケーション全体をWebブラウザ上で提供するものです。エンドユーザーが利用する、Webメールや業務システムなどのクラウドアプリケーションサービスがSaaSに該当します。
SaaSにおいては、アプリケーションの開発やアップデート、メンテナンスなどは全てプロバイダーが行い、ユーザーは基本的にそこで提供されるサービスを利用すればいいだけです。したがってSaaSは、アプリケーションの開発や管理運用を自社で行えない場合や、自社用のカスタマイズをあまり必要としない場合などに最適な選択肢です。
ただし、SaaSは管理運用に必要な時間や労力を節約できる反面、自社でコントロールできる部分は少ないため、パフォーマンスやセキュリティなどが犠牲になる可能性があります。なるべく自社のニーズに適したソリューションを導入できるように、製品選びには注意が必要です。
PaaS(Platform as a Service)PaaSは、プロバイダーが自社のインフラ上でハードウェアとソフトウェアをホストし、そのプラットフォームをインターネット経由でユーザーに提供するサービスです。PaaSは主に開発者やプログラマー向きのサービスで、ユーザーはインフラやプラットフォームを自分で構築・維持する手間を省いて、独自のアプリケーションを開発・運用できます。つまりPaaSとは、アプリケーションの構築やデプロイのための環境を提供するサービスです。
PaaSは、開発者がWebベースのアプリケーションを構築し、カスタマイズする際に役立ちます。開発者は内蔵のソフトウェア・コンポーネントを使用してアプリケーションを作成できるため、自分で書かなければならないコードの量も削減できます。
IaaS(Infrastructure as a Service )IaaSは、ハードウェアやサーバーなどのインフラを提供するクラウドサービスです。IaaSにおいてプロバイダーが提供するのは、必要なサーバーやネットワーク、ストレージなどに限定されているため、ユーザーはOSやミドルウェア、アプリケーションなどの構築や管理運用に関しては自力で行う必要があります。
IaaSを利用する場合、データセンターを管理維持するのはプロバイダーの役割ですが、ユーザーもAPIやダッシュボードを介してインフラにアクセスし、制御できます。IaaSのメリットは、必要なコンポーネントだけを購入し、状況に応じて拡張・縮小できる柔軟性を備えていることです。そのため、IaaSは開発やテスト環境の構築と撤収を迅速かつ柔軟に行うために役立ちます。
クラウドコンピューティングのメリットクラウドコンピューティングを活用することで、企業にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。以下では、最も一般的なサービスであるパブリッククラウドへ特に焦点を当てて、その利点を解説します。
すぐに利用できるクラウドコンピューティングのメリットはすぐに利用できることです。クラウドコンピューティングにおいては、インフラ構築はベンダー企業が行うため、初期投資や時間、労力などを最低限にして利用を始められます。特にPaaSの場合はアプリケーションの提供やメンテナンスまでプロバイダー側が担当するため、自社にアプリケーションを開発したり維持管理したりできる人的リソースがない企業でも安心して利用可能です。また、クラウドコンピューティングはインターネットで利用申し込みができるため、店舗へ訪問しての面倒な手続きなども必要ありません。
さらに、特別なハードウェアを用意する必要もなく、インターネットさえつながっていれば、いつでもどこからでも利用できるのもクラウドコンピューティングの魅力です。つまり、クラウドコンピューティングの導入は、テレワーク環境の整備に直結するということです。クラウドサービスの中にはモバイル対応しているものも多いため、外出先からもスマートフォンやタブレットでシステムやデータにアクセスできます。これにより、従業員の柔軟な働き方を促進しやすくなるでしょう。
柔軟に拡張できるクラウドコンピューティングは、ローカルサーバーでホスティングするよりも全体的に柔軟なビジネス環境を提供します。これはクラウドコンピューティングが従量課金制を採用しているのが主な理由です。たとえば、クラウドストレージサービスを利用している場合、企業は自社のデータ使用量やユーザー数などに応じて柔軟に契約プランを変更し、ストレージ容量やコストを迅速に拡大または縮小できます。
機能を追加したくなった場合も、上位の契約プランに変更したり、マルチクラウド式で複数のクラウドサービスを組み合わせたりすればいいだけです。他のクラウドサービスとの外部連携が充実している製品も多いため、そうしたサービスを利用すれば、さまざまなニーズを満たせます。このように、機能や帯域幅の拡張などが必要になった場合も、高額な費用や膨大な手間をかけてITインフラを更新することなく即座に需要を満たせるため。クラウドコンピューティングは組織全体の効率性や柔軟性に大きな違いをもたらします。
コストパフォーマンスが良いコストパフォーマンスの良さもクラウドコンピューティングの利点です。クラウドコンピューティングでは、ITシステムの構築や更新、管理・保守はベンダー企業が行うため、ユーザーはこれらに必要なコストや労力を削減しつつ、常に最新のITシステムを利用できます。先述の通り、クラウドコンピューティングは従量課金制なので、必要なときに必要なサービスだけ利用できるのもメリットです。これにより浮いた資金やリソースを活用することで、よりビジネスに役立つ活動を促進できます。
災害に強い災害への強さもクラウドコンピューティングに期待されることです。データとシステムを厳重に保護することは、災害時でも事業を継続するための重要な要素です。自然災害や停電、その他の危機が発生した場合でも、クラウドに保存していれば、データは安全な場所にバックアップされて保護されます。これにより、ダウンタイムと生産性の損失を最小限に抑えられます。また、クラウド活用と並行してテレワーク環境も整えておけば、災害や感染症のパンデミックなどの影響で従業員がオフィスに出勤できない場合でも、自宅から業務を進める環境を用意できます。これも事業の継続性を保つための方法のひとつです。
クラウドコンピューティングのデメリット多くのメリットがある一方で、クラウドコンピューティングにはいくつかのデメリットも存在することは否定できません。
たとえばクラウドコンピューティングは、インターネット接続を前提にしています。したがって、もしもインターネットへの接続環境がなかったり、通信障害が発生したりした場合、クラウドシステムやそのデータへのアクセスは当然できなくなってしまいます。接続はできても通信状態や回線速度が悪ければ、快適に利用することはできません。
インターネット接続を前提にすることは、セキュリティ上の不安も生みます。というのも、システムやデータをインターネット接続できる場所に置いておくということは、サイバー攻撃の危険とも隣り合わせだからです。特にパブリッククラウドの場合は、ユーザー同士がサーバーを共有するため、サーバーダウンなどの被害リスクを高めます。
昨今の主要なクラウドサービスはセキュリティ面での対策もしっかりしており、自社で独自にセキュリティを構築するより優れている場合もありますが、それでもリスクは完全に否定しきれるものではありません。このため、プロバイダーのセキュリティが信用できない場合や、自社で扱うシステムやデータが非常に高いレベルでの機密性を要する場合、クラウドを使うのは得策ではないかもしれません。
さらに、パブリッククラウドの場合は、多くのユーザーが利用する汎用的なサービスであるため、カスタマイズ性に乏しいことにも注意が必要です。場合によっては、システムの側に自社の業務プロセスを合わせる努力が必要かもしれません。
クラウドコンピューティングのサービス例クラウドコンピューティングの具体的な事例としては、どのようなサービスが挙げられるでしょうか。以下では、ビジネスで活用されるクラウドサービスの代表例として3大クラウドと言われる、「AWS」、「Microsoft Azure」、「Google Cloud」を紹介します。
AWS(Amazon Web Services)AWSは“Amazon Web Services”の略称で、ECビジネスで有名なAmazonが提供するクラウドサービスです。AWSは世界中の企業や組織が利用している実績豊富なクラウドサービスで、ストレージやデータベースなどのインフラから、AI、IoT、データレイク、データ分析といった最新のテクノロジーに至るまで、200以上ものサービスを展開しています。AWSのサービスにはSaaSも含まれますが、基本的にはエンドユーザー向けというよりも、開発者向けのPaaS、IaaSという性格が強いです。また、AWSのセキュリティは堅牢性に優れており、軍隊や銀行といった最高の機密レベルが求められる組織の要求にも耐えうるように設計されているのが特徴です。AWSについて詳しくは、以下の公式ページもご参照ください。(参考:https://aws.amazon.com/jp/what-is-aws/)
Microsoft AzureMicrosoft Azureは、Windows OSやOfficeアプリの開発会社として知られるMicrosoft社が提供しているクラウドサービスです。クラウドの種類としては、AWSと同様、PaaSまたはIaaSに該当します。Microsoft Azureの強みは、ビジネスにおいてスタンダードに利用されているOfficeアプリとの連携に優れていることです。Windows製品やOfficeアプリなどに慣れ親しんでいる企業にとって、Microsoft Azureは有力な選択肢となるでしょう。もちろん、Microsoft Azureそのものの機能も充実しており、AI・機械学習、DevOps、仮想化技術、アプリ開発などさまざまなサービスを提供しているほか、Microsoftの専門チームによる高度なセキュリティも備えています。Microsoft Azureの詳細は以下の公式ページをご覧ください。(参考:https://azure.microsoft.com/ja-jp/)
Google CloudGoogle CloudはGoogleが提供するクラウドサービスです。Google Cloud PlatformやGCPとも呼ばれ、種類としてはPaaSに分類されます。Google Cloudは、Googleがエンドユーザー向けに提供している「Google検索エンジン」や「Gmail」、「YouTube」といった有名な製品と同じインフラストラクチャ上で実行されるサービスです。これらのサービスは世界中で愛好されていることからもわかる通り、安定性が高く、通信速度やデータ処理速度などにも優れていますが、同じインフラを使用しているGoogle Cloudもその特徴を引き継いでいます。
また、Google Cloudでは、AI、仮想マシン、データウェアハウス、コンテナ、アプリ開発など100以上ものサービスが提供されており、特にデータ分析や機械学習に優れているのが特徴です。Google Cloudが提供するAIサービスやデータ分析サービスには、開発者向きの本格的なツールはもちろん、それらの技術に詳しくない人にも使いやすいもツールも含まれているので、ユーザーや用途に応じて柔軟に活用できます。昨今のビジネスにおいては、現場主導型のデータ分析やDXも重要視されていますが、そうしたことに取り組む企業にとってGoogle Cloudは有力な選択肢となるでしょう。
また、Google CloudはAWSなどと比べて比較的安価な料金設定なので、コストを抑えられるのも魅力です。Google Cloudの詳細については、以下の公式ページもご覧ください。(参考:https://cloud.google.com/)
クラウドサービス選定のポイント上記で紹介した3大クラウドをはじめ、クラウドサービスには非常に多くの製品があります。特にSaaSに至っては、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)など種類も多種多様で、その種類の中にさらにいくつもの製品が存在するため、製品選びに戸惑うことも多いのではないでしょうか。そこで以下では、クラウドサービスを選定する際のポイントを解説します。
機能第一に見るべきポイントは、クラウドサービスの機能です。まずはクラウドサービスでどのような課題を解決したいのか導入目的や用途を明確化し、それを基に製品に必要とされる機能要件を洗い出しましょう。このプロセスがしっかりしていないと、導入した後に目的に適していないことが明らかになったり、ツールの導入そのものが目的になってしまったりする懸念があります。
必要な機能を明確化することは、コスト面でも重要です。多くのクラウドサービスでは複数の料金プランが用意されており、当然ながら機能が充実しているほどその価格設定は高くなります。このため、機能要件が明確化されていないと不要なサービスのために高額なコストを支払ったり、逆に価格を重視するあまり必要なサービスが欠けたプランで契約したりしてしまいかねません。したがって、機能要件を検討する際には、必須の要件とあれば望ましいといった程度の要件を分けて洗い出し、料金とのバランスを考えて決めることをおすすめします。また、いくら機能が優秀でも現場で使いこなせなければ意味がないので、実際に製品を使用するユーザーにとって使いやすいか否かを考慮することも重要です。
サポート第二のポイントは、サポート体制の充実度です。クラウドサービスには無料で提供されているものも多いですが、有料版との大きな差別化要因となるのがしっかりしたサポートが用意されているか否かです。
特に、クラウドサービスの利用に慣れていない場合、導入時や運用時にさまざまな疑問点や課題が生じることが考えられます。「導入時の設定について質問に対応してもらえるか」、「トラブルに対して24時間体制で対応してもらえるか」、「すぐにリアクションをもらえるか」など、自社に必要なサポートが提供されるかどうか確認することが非常に重要です。必要なサポート体制がそろっていない場合、万一の際に実際の業務に遅れなどの支障が出る可能性もあるでしょう。ベンダーが海外企業の場合、サポートやマニュアルなどが日本語対応していないこともあるので、そうした点にも注意する必要があります。
セキュリティ第三のポイントは、セキュリティの信頼性です。すでに指摘した通り、クラウドサービスで最も懸念される点のひとつが、セキュリティの問題でしょう。クラウド上では、社内の機密情報や顧客の個人情報など、重要なデータを扱うこともあるため、不正アクセスなどに対して適切な対策を行う必要があります。
クラウドサービスに求められる基本的なセキュリティ機能としては、パスワードなどの多要素認証機能やアクセス権限の管理機能、データの暗号化機能、ログの監視・追跡機能などが挙げられるでしょう。場合によっては、パブリッククラウドではなく、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドを選択すべきかどうかも検討するのがおすすめです。
まとめクラウドコンピューティングまたはクラウドサービスとは、インターネットを経由してさまざまなITインフラやアプリケーションを利用できる従量課金制のサービスです。クラウドコンピューティングは導入しやすく、拡張性や柔軟性にも優れているため、今では多くの企業が積極的に活用を進めています。デジタル活用が進む昨今、クラウドコンピューティングは今後ますます重要性を増してくるでしょう。
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